最終更新日 2024年11月5日
飲食店はさまざまにある業種の中でも特に軌道に乗せるのが難しいビジネスであると言われる存在です。
しかし日本国内には何千軒もの飲食店がひしめいており、また居抜き物件などを使えばイニシャルコストも抑えられるため、一見すると経営開始の敷居は低いようにも見えるでしょう。
実際のところ、それは間違いではありません。
飲食店の経営を始めたいのであれば各地で規定されている衛生講習などを受けて許可を得て、適当な物件を見つけて不動産会社と契約すれば良いだけの話です。
しかし敷居が低いというのは必ずしも経営難度の低さに繋がるわけではないのです。
ではどうして難しいと言われるのか、最大の理由は「飲食店は待ちのビジネスである」ということです。
通常のビジネスは自分から営業活動を行って新規顧客を開拓し、そこから利益を見出していくということが可能なものがほとんどです。
ですが飲食店は店舗に足を運んでくれたお客さんのオーダーに合わせて飲食物を提供する事業であり、能動的に新規顧客を開拓するというのが極めて困難だという特徴があります。
もちろんポスティングなども広義の営業活動に含められますから不可能であるとは言えませんが、他のビジネスに比べれば顧客開拓の困難さは群を抜いていると言えるでしょう。
加えて「業界は常に飽和状態である」ということも大きなポイントです。
現代の日本において「最寄りの飲食店はどこにありますか」と聞かれた場合、誰でもひとつは答えられるものでしょう。
しかし最寄りの印刷業者はどこか、最寄りの縫製工場はどこか、最寄りの消化器内科はどこかといったように聞かれると、ほとんどの人は答えられないはずです。
こういったことが聞かれた時の連想のしやすさはその業界の供給状態にほぼ比例していますから、飲食業界というのは常に誰でもどこかにあると思っている飽和状態の業界です。
そうした中で生き抜くとすれば、既に顧客を得ている他の飲食店を抜き去る必要があり、これもかなり困難なことなのです。
こういった経営の難しさを試練と思えるのであれば挑戦に値することですが、生半な覚悟では乗り切れない厳しい業界であるということは必ず知っておきましょう。